吉川眞衣

Philosophy

楽譜の中へ、旅に出よう

私は幼い頃から楽譜を見るのが好きでした。
そして音大時代から、オーケストラの譜面を見るのも好きになりました。

なぜなら楽譜には、作曲者が描いた世界が音符として記されており、
楽譜を読むだけで作曲者が描いた世界の中を旅できるからです。


書かれた音符を読み、その景色を見ていると、
今ここには居ないはずの作曲者が、
「ここはこういう風になってるんだ」とか
「ここはこれを描きたいんだ」と語りかけてきてくれます。

それによりさらに理解が深まり、解像度が上がることで、
旅が更に充実したものになっていきます。

そうやって楽譜の中を旅をするのがとにかく好きです。


そして、
読み解いた景色や物語、感情やエネルギーなどを共有し、
奏者と対話を重ねながら一つの音楽を作り上げていく、オーケストラが好きです。


私は決して「私の思い通りの音」を鳴らしたい訳ではなく、
楽譜から読み解いた、作曲者が描いている「景色、意図、感情、エネルギー」を奏者に共有した時。

奏者が演奏したいものとその音楽が合わさり、
それによって生み出される「その音」に、唯一無二の美しさがあると感じています。


現実に具現化された音楽の中で、
演奏者と聴衆が限りなく同じ景色を見つめ、同じ時間を共有する。

その瞬間に生まれる心の震えこそが、
私が求めてやまない「真に楽しい音楽体験」であると
私は信じています。